内村鑑三の今井館聖書講堂と無教会の思想を生かすNPO法人今井館教友会

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  日本版『インタープリテイション』81号
  ほかに神があってはならない

book日本版『インタープリテイション』刊行の継続を喜ぶ

 季刊誌『インタープリテイション』が米国ヴァージニア州のユニオン神学校から世界に向けて発刊されたのは、第二次大戦後まもない1947年1月のことであった。刊行目的は、混乱する時代の諸問題をしっかり見据えながら、聖書学と神学研究の最新成果から今日的使信を紡ぎ出し、それをより平易なかたちで伝えることにあった。読者には、学者でなく、牧会に携わる聖職者や聖書と神学に関心を抱く平信徒が想定された。以来、65年余を閲するが、各号に個別の主題を掲げる本誌は、米国のみならず、世界のキリスト教界に歓迎され、益々その存在意義を高めている。
  このような本誌の日本語版は、1990年以降、新井明氏(日本女子大学教授、当時)の監修のもと、ATD・NTD聖書註解刊行会から刊行された。この刊行事業は、誠実な信仰と真摯な研究に基づいて明らかにされる聖書の使信を日本人のもとに届けたいと願う、同刊行会の方々の熱意に支えられていた。ところが、これまで手弁当で刊行に尽力されてきた方々が齢を重ねるにおよび、ここしばらくは、年に4号の発行が難しい情況となっていた。最後の80号「神の像」の刊行は2011年7月である。
 この度、こうした事情を汲み取った聖公会出版が刊行事業を引き継ぐことになった。かくして、日本版『インタープリテイション』に託した刊行会の方々の意思も受け継がれていく。まずは、偶像崇拝批判を主題とする81号が、装いも新たに刊行される。嬉しい限りである。この場をかりて、これまで刊行に携わってこられた方々の労をねぎらい、事業の引き継ぎを決断された聖公会出版唐澤秩子社長に感謝を申し上げたく思う。
  かつて、日本版の発刊に際し、新井明氏は監修者として「刊行のことば」に次のように記された。「近く来たらんとする二一世紀は、それがいかなる時代となるにもせよ、これまで以上に全地球的な視野が求められる時代となることは確かである。日本のキリスト者も、(中略)海外のキリスト教思潮の動きを、比較的に短時間のあいだに、しかも正確にとらえる必要が生じてきている。その意味でも、『インタープリテイション』翻訳の作業は、この国において時宜をえたもの、ひとつの先駆的役割を果たすものと思っている」。はたして、人々が平和を願った二一世紀は、資本主義世界を象徴するニューヨーク・貿易センタービルの悲劇で幕が開き、その10年後、日本は予期せぬ大地震と福島の原発事故に見舞われた。文明が平和と繁栄をもたらすといった楽観主義的幻想を抱く人は、もはや、ほとんどいない。ならば、人類の真の希望はどこに見出しうるのか。
  聖書こそは人類の真の希望を語る。そう信じる私たちキリスト者は、聖書をとおして世界の現実を見つめ、世界の現実を見つめつつ聖書に学ぶ。そこに真の希望のありかを確認しようとする。確認できれば、それを親しい友にまた同胞に伝えたくも思うだろう。本誌がそのような学びのために、信仰を重んじ、学問を愛する多くの教会また信徒の問で、ひろく用いられることを願ってやまない。

             2013年5月 監修者を代表して 月本 昭男

 

 

定価:(本体2,000円+税)

版行: 聖公会出版

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